土星 の環は
惑星 の環としては最もよく知られているものといえる。
土星 の衛星と環に
土星 の環の一覧がある。
歴史 土星 の環は1610年にガリレオ・ガリレイによって初めて観測された。しかし、望遠鏡の性能が良くなかったために、ガリレオは輪になっていることを把握できなかった。その様子をトスカーナ大公コジモ2世(在位:1609年 - 1621年)へ書き送っている。
「
土星 は一つではなく3つの星の集まったものです。それらはお互いに結合しており、動いたり変化したりすることはありません。これらは黄道上を同様に行き来し、中心になる
土星 と、その横にリングのようにくっついた構造をしています。」
彼はまた、
土星 には耳があるとも書いている。1612年に
土星 の向きが変わり地球から環を観測できなくなった。1613年に再び見えるようになり、ガリレオをさらに悩ませた。
土星 の環の謎は1655年にクリスティアーン・ホイヘンスがガリレオよりも数段優れた望遠鏡で観測するまで解けなかった。1675年にジョヴァンニ・カッシーニは土星 の環は間をあけた複数の輪で構成されていることを発見した。彼の名にちなんでA環とB環の隙間にはカッシーニの間隙と名付けられている。またA環内にはエンケの間隙と呼ばれるカッシーニの間隙よりも細い隙間が存在する。これはドイツの天文学者フランツ・エンケにちなんでつけられたものだが、現在のエンケの間隙はジェームズ・キーラーによって発見されたものである。A環にはキーラーの空隙と呼ばれる隙間も存在する。 パイオニア11号 : 1979年9月11日 ; リングの夜側。ほとんどのリングが黒く見える。また、リングのほとんどの部分が薄く写っており見ることができない。
物理的特徴 最近の望遠鏡や性能のよい双眼鏡を使えば
土星 の環は容易に観測することができる。環は
土星 の赤道から 6,630 km から 120,700 km の距離まで広がっており、シリカや酸化鉄、氷の粒子などで構成されている。粒子は細かい塵状のものから、小さな自動車程度の物まで様々である。
土星 の環の起源については有力な説が2つある。一つは19世紀にエドゥアール・ロシュが唱えた説で、
土星 の衛星が
土星 に近づきすぎて潮汐力によって破壊されたというものである。この前提として、破壊された衛星に彗星や小
惑星 が衝突したとされている。もう一つはリングの構成物は元々衛星ではなく、
土星 形成時の星雲の成分がそのまま外に残った物という説である。後者で形成された場合、
土星 の環は数百万年も形状を維持できるほど安定していないため、この説は今日ではそれほど広くは受け入れられていない。
土星 の環は内側から順にD環、C環、B環、A環、F環、G環、E環があり、F環、G環はよじれた構造をしている。地球から観察した場合、環の間隙は最も大きなカッシーニの間隙とエンケの間隙のみ見ることができるが、ボイジャーは
土星 の環に何千もの空白区間があることを発見した。この構造は
土星 にある多くの衛星の副産物と考えられる。また、衛星の運動以外では粒子同士の
重力 的共鳴現象によって環を形作っていると考えられる。
環の厚さはその大きさに比べて非常に薄く、特に内側ほど薄い。各環の中央部の厚さは不明であるが、端部ではC環が約5m、B環が5〜20m、A環が10〜30mである。仮に
土星 本体の直径を10mとして模型を作ったとすると、環の厚さは数μm程度となる。なお、G環の厚さは100km、E環は1万kmと推定されている。
F環は、羊飼い衛星のパンドラとプロメテウスの二つの衛星によって形を維持していると考えられており、物質密度の高いコアという部分と淡いストランドという部分で構成され、形状は常に変化している。2005年9月のカッシーニの観測により、F環のストランドが螺旋状であることが発見された。螺旋構造の成因はF環とS/2004 S 6の衝突によると推測されている。
2006年3月、カッシーニによってエンケラドゥス南極付近に噴出孔が発見され、E環はここから放出された物質によって形成されたと考えられている。
環の夜側 太陽 から照らされた面と、その反対(夜側)とでは環は全く異なったように見える。 夜側から見る環はかなり暗く、特にB環はほとんど黒に見える。地球からは土星 の夜側を見ることができないので、宇宙探査機のみがこれを観測することができる。カッシーニはボイジャー以来25年ぶりに土星 の夜側を撮影した。 カッシーニ : 2004年10月27日 ; リング夜側の細部。B環は最も暗く写っている。
環のスポーク 1980年まで、
土星 の環の構造は
土星 の
重力 のみによって形作られると説明されてきた。しかし、ボイジャーはB環のなかに暗い放射状の構造を発見した。これはスポークと呼ばれ、
重力 による環の軌道運動だけでは説明できない物だった。この現象は
土星 の環がほぼ
土星 の磁気圏内を運動しているため、環を構成している粒子の電磁相互作用によって生じていると考えられている。しかしスポークが形成される原因ははっきりと分ってはいない。
カッシーニは2004年7月の
土星 到着以来、ボイジャーと同等以上の精度で環を撮影したが、しばらくの間スポークは認められなかった。2005年9月に、スポークの写真が得られ、四半世紀を経てその存在があらためて確認された。スポークは、環の平面が
太陽 と大きな角度をなす
土星 の夏・冬には消失し、環の平面が公転面と重なる
土星 の春・秋に姿を現すと考えられている。
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