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火星の衛星 

火星にはフォボスとダイモスの2つの衛星が存在する。ともに1877年にアサフ・ホールによって発見され、ギリシア神話で軍神アレスの戦いに同行した息子のフォボス(「狼狽」の意)、ダイモス(「恐怖」の意)から名付けられた。アレスはローマ神話では戦争の神マルスとして知られている。

17世紀に書かれたスウィフトの『ガリヴァー旅行記』や18世紀に書かれたヴォルテールの『ミクロメガス』には、火星が2つの衛星を持っているという記述があり、特に『ガリヴァー』では実際の観測値に比較的近似した軌道を持つことになっているが、これらはケプラーの法則と、地球が1つの衛星を、木星が4つの衛星(当時確認されていたガリレオ衛星)を持っていたことからの類推とみなされている。

火星の表面から見る衛星フォボスとダイモスの運動は、地球の衛星である月の運動とは非常に異なっている。フォボスは西から上って東へ沈み、11時間後に再び上る。ダイモスは火星から見た静止軌道のわずかに外側を回っており、東から上るがその運動は非常に遅い。ダイモスの公転周期は30時間だが、西の地平線に沈むまでには2.7日もかかる。これはダイモスの公転が火星の自転から少しずつ遅れるためで、平均して約5.4日後には再び上る。

両方の衛星とも火星と潮汐力によって自転と公転が同期しており、常に火星に同じ面を向けている。フォボスは火星の自転よりも速く公転しているため、潮汐力によってフォボスの軌道半径はゆっくりと、しかし確実に小さくなっている。未来のある時点でフォボスは潮汐力によって破壊されると考えられる(ロシュ限界を参照のこと)。一方ダイモスは軌道が十分に遠いため、その公転軌道はゆっくりと遠ざかっている。

1950年代から1960年代にかけて、フォボスは中空の人工天体だという説が提唱されたが、後に否定されている。

火星衛星
名称直径 (km)質量 (kg)軌道傾斜角(度)離心率平均軌道半径 (km)公転周期(時間)平均出没周期
フォボス
(Phobos)
22.2 (27 × 21.6 × 18.8)1.08E+161.080.01519,3787.6611.12h
ダイモス
(Deimos)
12.6 (10 × 12 × 16)2.0E+151.790.0003323,40030.355.44d

火星の衛星 フォボスの日面通過
2004年3月10日に探査ローバー・オポチュニティによって観測されたフォボスの日面通過 
 火星の衛星 ダイモスの日面通貨
 2004年3月4日に探査ローバー・オポチュニティによって観測されたダイモスの日面通過


火星から見てフォボスの角直径は8分(出没時)から12分(南中時)で、ダイモスの角直径は約2分である。これに対して太陽の角直径は約21分である。したがって火星では皆既日食は起こらない。


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[ 2008/05/02 11:49 ] 太陽系 | TB(0) | CM(0)
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