宇宙ニュース大辞典 

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火星の物理的性質 

大気
火星の大気は希薄である。地表での大気圧は約750Paで、地球での平均値の約0.75%に過ぎない。しかし、大気の厚さを示すスケールハイトは約11kmに達し、およそ6kmである地球よりも高い。火星の大気は希薄なために熱を保持する作用が弱く、そのために火星の温度は低い。火星の表面温度は最高でおよそ20℃である。火星大気の組成は二酸化炭素が95%、窒素が3%、アルゴンが1.6%で、他に微量の酸素と水蒸気を含む。2003年、地球からの望遠鏡による観測で火星大気にメタンが含まれているらしいことが判明し、2004年3月のマーズ・エクスプレス探査機によって確認された。現在観測されているメタンの量の平均値は体積比で約11±4 ppb である。

火星にメタンが存在することは非常に興味深い。なぜならメタンは火星環境では不安定な気体なので、それが存在するということはガスの源が火星に存在する(または、少なくとも最近100年以内には存在していた)ことを示唆するからである。ガスの生成源としては火山活動や彗星の衝突、あるいはメタン菌のような微生物の形で生命が存在するなどの可能性が考えられるが、いずれも未確認である。地球の海では、生物によってメタンが生成される際には同時にエタンも生成される傾向がある。それに対して火山活動から放出されるメタンには二酸化硫黄が付随する。メタンは火星表面の所々に局所的に存在しているように見えるが、このことから、発生したメタンは大気中に一様に分布する前に短い時間で分解されていることがうかがえる。またそれゆえ、おそらく持続的に大気中に放出されているとも推測される。現在、どの発生源候補が最も有力かを推定するために、メタンと同時に放出される別の気体を検出する計画も進められている。

火星大気には大きく変化する面もある。冬の数ヶ月間に極地方で夜が続くと、地表は非常に低温になり、大気全体の25%もが凝固して厚さ数メートルに達する二酸化炭素の氷(ドライアイス)の層をつくる。やがて、極に再び日光が当たる季節になると二酸化炭素の氷は昇華して、極地方に吹き付ける400km/hに達する強い風が発生する。これらの季節的活動によって大量の塵や水蒸気が運ばれ、地球と似た霜や大規模な巻雲が生じる。このような水の氷からなる雲の写真が2004年にオポチュニティによって撮影されている。

地質
火星の表面は主として玄武岩と安山岩の岩石からなっている。いずれも地球上ではマグマが地表近くで固まって生成する岩石であり、含まれる二酸化ケイ素 (SiO2) の量で区別される。火星では多くの場所が厚さ数メートルあるいはそれ以上の滑石粉のような細かい塵で覆われている。

マーズ・グローバル・サーベイヤー探査機による火星の磁場の観測から、火星の地殻が向きの反転を繰り返すバンド状に磁化されていることが分かっている。この磁化バンドは典型的には幅160km、長さ1,000kmにわたっている。このような磁化のパターンは地球の海底に見られるものと似ている。1999年に発表された興味深い説によると、これらのバンドは過去の火星のプレートテクトニクス作用の証拠かもしれないと考えられている。
 
火星の岩石
オポチュニティによって、撮影された火星の岩石の顕微鏡写真。過去に水の作用によって作られたと考えられている。
 
しかしそのようなプレート活動があった証拠はまだ確認されていない [4]。2005年10月に発表された新たな発見は上記の説を支持するもので、地球で発見されている海底拡大によるテクトニクス活動と同様の活動が太古の火星にあったことを示している 。もしこれらが正しければ、これらの活動によって炭素の豊富な岩石が地表に運ばれることによって地球に近い大気が維持され、一方で磁場の存在によって火星表面が宇宙放射線から守られることになったかもしれない。またこれらとは別の理論的説明も提案されている。

オポチュニティによる発見の中に、メリディアニ平原で採取した岩石から小さな球形の赤鉄鉱(ヘマタイト)が発見された。この球体は直径わずか数mmしかなく、数十億年前に水の多い環境の下で堆積岩として作られたものと考えられている。他にも鉄ミョウバン石など、硫黄、鉄、臭素を含む鉱物が発見されている。これらを含む多くの証拠から、雑誌 Science 2004年12月9日号において50名の研究者からなる研究グループは、「火星表面のメリディアニ平原では過去に液体の水が断続的に存在し、地表の下が水で満たされていた時代が何回かあった。液体の水は生命にとって鍵となる必要条件であるため、我々は火星の歴史の中でメリディアニでは生命の存在可能な環境が何度か作られていたと推測している」と結論している。メリディアニの反対側の火星表面では、コロンビア・ヒルズにおいてスピリットが針鉄鉱を発見している。これは(赤鉄鉱とは異なり)水が存在する環境で「のみ」作られる鉱物である。スピリットは他にも水の存在を示す証拠を発見している。

マーズ・グローバル・サーベイヤーが2006年に撮影した写真から、クレーター内壁の斜面を液体が流れた痕跡が見つかったが、1999年に同じ場所を撮影した写真には写っておらず、それ以降にできたものと思われる。

火星の地形図
 火星の地形図。特徴的な地形として、西部のタルシス火山群(オリンポス山を含む)、タルシスの東にあるマリネリス峡谷、南半球のヘラス盆地などがある 
 地形
火星の地形は大きく二通りに分かれており、特徴的である。北半球は溶岩流によって平らに均された平原(北部平原の成因としては大量の水による侵食説もある)が広がっており、一方、南半球は太古の隕石衝突による窪地やクレーターが存在する高地が多い。地球から見た火星表面もこのために二種類の地域に分けられ、両者は光の反射率であるアルベドが異なっている。明るく見える平原は赤い酸化鉄を多く含む塵と砂に覆われており、かつては火星の大陸と見立てられてアラビア大陸 (Arabia Terra) やアマゾニス平原 (Amazonis Planitia) などと命名されている。暗い模様は海と考えられ、エリトリア海 (Mare Erythraeum)、シレーヌス(セイレーンたち)の海 (Mare Sirenum)、オーロラ湾 (Aurorae Sinus) などと名づけられている。
地球から見える最も大きな暗い模様は大シルチス (Syrtis Major) である。
火星には水と二酸化炭素の氷からなる極冠があり、火星の季節によって変化する。二酸化炭素の氷は夏には昇華して岩石からなる表面が現れ、冬には再び氷ができる。楯状火山であるオリンポス山は標高27km[1]の太陽系最高の山である。この山はタルシス高地と呼ばれる広大な高地にあり、この地方にはいくつかの大きな火山がある。火星には太陽系最大の峡谷であるマリネリス峡谷も存在する。この峡谷は全長4,000km、深さ7kmに達する。火星には多くのクレーターも存在する。最大のものはヘラス盆地で、明るい赤色の砂で覆われている。

座標の基準
火星には海がなく「海抜」という定義が使えないため、高度 0 の面、すなわち平均重力面を選ぶ必要がある。火星の基準測地系は4階4次の球面調和関数重力場で定義され、高度 0 は温度 273.16K での大気圧が 610.5Pa(地球の約0.6%)となる面として定義されている。この圧力と温度は水の三重点に対応している。

火星の赤道はその自転から定義されているが、基準子午線の位置は地球の場合と同様に任意の点が選ばれ、後世の観測者によって受け入れられていった。ドイツの天文学者ヴィルヘルム・ベーアとヨハン・ハインリッヒ・メドラーは1830年から32年にかけて最初の火星の体系的な地図を作成した際に、ある小さな円形の模様を基準点とした。彼らの選択した基準点は1877年に、イタリアの天文学者ジョヴァンニ・スキアパレッリが有名な火星図の作成を始めた際に基準子午線として採用された。1972年に探査機マリナー9号が火星の広範囲の画像を撮影した後、子午線の湾のベーアとメドラーの子午線上にある小さなクレーター(後にエアリー0と呼ばれる)が米国RAND社のメルトン・デーヴィスによって、惑星撮影時の制御点ネットワークを決める際により正確な経度0.0度の定義として採用された。

運河
火星にはかつて生命が存在したという考えのために、火星は人類の想像の世界の中で重要な位置を占めている。こういった考えは主に19世紀に多くの人々によって行なわれ、パーシヴァル・ローウェルやジョヴァンニ・スキアパレッリによって一般に知られるようになった火星観測から生まれた。スキアパレッリは観測された模様をイタリア語で溝 (channel) を表す canali という語で記述した。これが英語でcanal(運河)と誤訳され、ここから「火星の運河」という説が始まった。これらの火星表面の模様は人工的な直線状の模様のように見えたために運河であると主張され、またある領域の明るさが季節によって変化するのは植物の成長によるものだと考えられた。これらの考えから火星人に関連した多くの話が生まれた。20世紀末までには直線状の模様のほとんどは実際には存在せず、いくつかのケースでは太古に水の流れた跡が干上がった地形であることが分かった。また、色の変化は塵の嵐のためであると考えられている。



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[ 2008/05/02 11:39 ] 太陽系 | TB(0) | CM(0)
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